もう少しゆっくり、もう少し狭く
面白いよと推薦され、「映画を早送りで観る人たち」という本を借りて読みました。
なるほど。近年もやもやと抱えていた違和感が言語化され、腑に落ちたり納得させられたりしました。また、タイパという概念も知ることができました。いわゆる時間のコストパフォーマンスということだと理解しています。
例えば、自分で選んだコンテンツをB級だと感じたとして、これも良い経験だ、選択の失敗をしたからこそベストと感じるものがより光るのだと思うことを、ある種の喜びだと考えています。なので、タイパに重きを置いて行動することを、もったいないなあとか、残念な風潮だなあと感じてしまいます。
しかし一方で、映画こそ早送りはしませんが、録画したバラエティやニュース番組は二倍速で観ている自分もいるのです。情報も深掘りせず、斜め読みが基本となっています。そういえば最近のヒットチャートも、イントロだけで判断して次の曲を聴く、なんてこともしていました。タイトル通り、知らず知らずのうちにタイパを意識して情報を取捨選択してしまっているのでしょう。
流行りの移り変わりは年々スピードアップしているように感じますし、SNSを開くと数多のカテゴリーがあり、またその中に膨大な情報が日々溢れているように思います。それらに浸かることに慣れるとそのスピード感が普通になってしまって、数日目を離したものならすぐに浦島太郎のような気分になれる…と感じたこともあります。
情報の大波から出て、早送りボタンのない映画館やコンサートに行ったり、いっそデバイスを手放して温泉旅館にでも行ったりしたいところです。そうすれば、超スピードな世界で蓄積した疲れが癒やされたりするのだろうか…と思いながら、時間確保のための時短レシピを探し、SNSをぼーっとスワイプし続けてしまう自分がおりました。