対人関係~職場編 上司・先輩との関係
はじめに
学生時代にはちょっとやそっとのことで心の調子を崩すことなどなかった方が、社会人になって初めて、体調不良が続く、朝起きれない、気分が憂鬱になる、などなど不調が表れるということがあります。不調が続く要因となっているストレスをみていくと、職場での人間関係ということが非常に多い印象を受けます。
職場の人間関係というのは、毎日のことです。それまでのように、苦手な相手だなと思って避ける、という手段が使えません。しかも、仕事をスムーズに行うためには、苦手な相手でも「良い関係」を維持しなければなりません。それは大変難しいことです。特に「苦手な相手」が上司や先輩という立場にあれば、仕事上、報告連絡相談といった関わりが必須となるでしょう。「苦手だな」との思いから緊張し、態度もどこかビクビクとしてしまい、説明も上手くいかない、すると案の定、上司から指摘を受けてますます萎縮し・・・と悪循環のように苦手が膨らんでいきます。
「苦手」悪循環の仕組み
そのような時、こんなことが起きている場合があります。「苦手だな」と感じたきっかけは些細なことだったはずが、段々と自分自身のなかで「苦手な上司像」をつくってしまいます。すると実際の上司に対応している時も、実は自分の心の中にある実際以上に怖かったり、意地悪な「苦手な上司像」に対応する態度を示してしまいます。その態度に反応して、上司もなんだか腹が立って、「苦手な上司像」のような振る舞いをしてしまい、「苦手」の悪循環に入っていくのです。少しややこしいですが、そのようなことは結構生じることなのです。
「苦手」悪循環からの脱出
このループから脱出するためには、「事実」「実際」を見ることです。例えば、その上司は自分にだけ厳しく指摘するのか、他の人にもやはり厳しいのか、厳しいときもあるが、そうでない時もあるのか、そもそもこの上司はどんなタイプの人なのか、などなど。自分対その上司という視点だけに縛られているところから、他の視点や全体を見渡すということです。自分のなかにあった「苦手な上司像」がそこまでではないことや、苦手なところもあるけど、そうでもないところもある、などと思えてくれば今度は良い循環に入っていけます。最初は苦手だったけど、今では最も相談できる上司になった、そんな話もよく聞く話です。
対人関係~部下との関係
相談室や、連携しているクリニックからは、「職場の上司や同僚からのすすめで」いらっしゃる方が増えてきています。職場で何か上手くいっていない部下がいる、いくら指導をしても改善されない、と部下や後輩のことで頭を悩ますということは多くの方が経験されていることだろうと思います。こちらの言うことが伝わらない、いくら言っても変わらない。しかし部下、後輩を管理、教育することは大きな仕事の一つでもあるので、それをなかなか相談する機会もない。そうするうちに、ご自身が疲弊してしまうことも少なくはないようです。それは、これまで積んできたやり方がどうしても通用しなかったり、基本から丁寧に教育しているがいっこうに伸びないというなかで、ご自身のやり方を責めてしまう、責任感の強い方程疲弊してしまう傾向があります。心理相談室には、仕事での失敗が多い、それで上司に怒られて辛いという方も多くご相談にいらっしゃいます。そのような方のお話を伺っていると、上司はとても熱心に教育してくれているが、どうやら互いに誤解をしているようだ、と感じることが多くあります。そんな時、上司がその方の特徴や傾向を理解されていたら、お互いにもう少しスムーズになるだろうと思われる場面が多々あります。
長年のご経験をもってしても、なかなか思うようにゆかぬ部下、後輩に悩まれた際、その人の特徴や傾向を知ることで、その人に合った工夫や対応が必要となります。そうすることで、お互いに疲弊することなく、ストレスを軽減することができるでしょう。ご自身のことだけでなく、このような相手に困っているが、どう理解したら良いか、そのようなご相談にも当相談室はご利用して頂けます。
(高梨)