逆境にどう立ち向かうか
錦織選手復帰
先日、テニスの錦織圭選手が、右肘の手術を経て、約1年ぶりにツアーに復帰しました。
本来なら、もっと早く復帰する予定でしたが、新型コロナウィルスの流行により、テニスのツアー自体が中断され、さらに出場予定だった全米オープン直前に、錦織選手自身の新型コロナウィルス感染が発覚して休養を余儀なくされ、やっとやっと、この度のツアー復帰となりました。
試合自体は、出だし好調でこのまま楽勝かと思われた第1セット以降、段々ミスが増え、疲れが見え始めて息切れし、結局逆転負けしてしまいました。
あんなに苦しそうなのは、コロナの後遺症で呼吸器に問題があったりするのかしら、と心配になったりもしましたが、試合後の錦織選手はいたって前向きで、1年のブランクからしても、ある程度想定内の試合内容だったようです。
逆境に強いってどういうこと?
錦織選手と言えば、逆境に強いことには定評があり、最終セットまでもつれた試合における勝率は、並み居るレジェンドたちをしりぞけ歴代1位、というのは有名な話です。
勿論、最終セットまでもつれることなく、さくっと勝ってくれれば一番いいのですが、海外のトッププレーヤーと比べて身体の小さい錦織選手は、サービスエース量産といった力技では勝てず、その俊敏さと頭脳プレーによる駆け引きで勝ちをたぐり寄せる試合が多く、必然的にストローク勝負になり、試合は長くなってしまうのです。
これまでも、何度も何度も、あーもうダメだー、負けたーと見ているこっちが諦めかけたとき、錦織選手はいつも、前を向いていました。
その苦しい中でどこにチャンスがあるのか、何を修正すれば良いのか、今この1ポイントをとることだけを考えて走り続ける姿に、こちらははっとして自分の弱さを反省してきました。
今回の試合も、怪我明けだしなあとか、相手も強いしなあとか、30代になってフィジカル落ちちゃったかなあなんて、言い訳めいたことを考えていた私は、錦織選手の鮮やかなポイントの連続に、目が覚める思いでした。
結果的に試合には負けてしまいましたが、今回もやっぱり、錦織選手は最後の最後まで諦めず、挑戦し続けていました。
少し前のインタビューで錦織選手は、今回の怪我による、長い戦線離脱について、自分では平気なつもりだったけど、あるとき急に辛くなって、嗚咽してしまったことがある、と話していました。
そうなのか、やっぱり相当辛かったんだろうと胸が痛みました。
でも今回の試合を見たら、怪我に、コロナに、こんなに大変だったのに、きっとものすごい不安やプレッシャーがあったのに、この人は負けてないんだなあと思いました。ずっと戦ってきたんだなあと。
コロナの影におおわれて、まだまだ大変なことが続く日々ですが、皆さま、腐らず諦めず、今できることを一緒に頑張りましょう。
自分から投げ出さない限り、“負け”ときまったわけじゃないですよ。