第3回きしろ心理相談室セミナー『発達障害について臨床心理士と考える』が開催されました。

10月14日、第3回きしろ心理相談室セミナー『「発達障がい」について臨床心理士と考える』が開催されました。日曜日の午前中にも関わらず、たくさんの方にご来場頂き、ありがとうございました。皆さんの関心の高さを再確認いたしました。 

この20年くらいで「発達障がい」という言葉はかなり一般的に浸透してきています。特に最近は、教育、産業、医療とあらゆる場において、そのような視点が適応を考える上でも不可欠となっているようです。それによって「発達障がい」への理解も増しましたが、誤解も増しているように思い、今回のテーマとしました。 

われわれの思いとしては、「発達障がい」=その人、と考えるのではなく、この人の(一部としての)「発達障がい的特性について考える」というスタンスをお伝えしたいと考え、企画したセミナーです。前半は、「行動」として現れる特徴を具体的に詳しく説明し、後半は「発達障がいのこころ」についてご説明しました。

「行動」として現れる特徴については、例えば「共感性」「不注意」「集団行動」などにおいて、それが実際にはどのようなかたちで、どのような程度で現れるのか。現れ方は千差万別であるということ。それによって何をどのように困っているか、について説明しました。後半はその「特性」によってどのように「世界」を体験しているか、その「体験の仕方」によって独自の「しんどさ」「苦しさ」はなにか、について考えました。

「発達障がい」的特性をもった方に限らないことですが、表に現れている「行動」を理解することは、対処法や環境調整を考える上で欠かせません。しかしそれだけでは片手落ちです。その人自身が世界や現実をどのように体験しているのか、それを知ることが非常に重要だと考えています。そしてそれは、ご本人の話に丁寧に耳を傾け、教えてもらうことでしか知りえないものです。 

ご来場された方々のアンケートに、「発達障がいについて、色々な視点があることを知りました。1回では足りない」というご意見をいくつかいただきました。そのように考えて頂けた機会となったことを大変有難く思いますし、今後も様々な視点をご紹介してゆければと考えております。