Dr.Naokiの森田療法コラム ~「第六回目」不安の悪循環(渦)への対応~

「第六回目」

不安の悪循環(渦)への対応:

前回のコラムで考えていただいた「課題」の不安の渦は、とらわれやはからいを重ねて出来上がったものであり、そこから抜け出すのは簡単ではありません。森田は入院療法を考え、「臥褥」という手法を考えました。すなわちこれまでの悩み多かった状況から身を切り離し、活動を停止し、すべてをゼロにするような環境に身を置くという逆説的(パラドックス)的なアプローチと言えます。4-7日間なにもしないで寝続ける、スマホも音楽も気晴らしになるものは禁止にするというものでした。「考えることを止める」ことが狙いですが、「やめなさい」とか「止めなければいけない」と思うこと自体がとらわれを強化してしまうので「いろいろ考えが浮かんでもそのままにしておく」という提言をしています。

 

メンタルクリニックでは以下の2点を身に着けることを提言しています。

 

一、五感を働かせて注意を外界に向ける

しっかり五感を働かせて周囲を観察すること、すなわち注意は内側ではなく、外に向けていきます。しっかり「見て、聴いて、触って、味わって、匂いをかぐ」ということを繰り返し行います。

景色を見る、風の音を聴く、ソファーを触る、食事を味わう、花のにおいを嗅ぐなどです。

これまではいつも自分の内側にのみ注意が向いており、しかも不安な気持ちにのみ注意が向いています。それを逆転させて外に注意を向けることで、不安から距離を置くことができます。

考えることによって固められた悪循環を打破するために「感じることから自分をとらえ直す」ことを提案したいと思います。これがセンスフルネスの意味です(ペグ・ルバイン)。「ことばではなく感じから自分を変えていこう」という提案です。

感覚には五感(視覚,聴覚,触覚,味覚,嗅覚)があります。さらにわたしたちが日々さまざまな状況に直面して感じることがあります。楽しいことやつらいこと、うれしいことや悲しいこと、ほっとすることや緊張すること、うきうきすることやだるいことなどこれらはすべて感情(気分)です。不安なことや憂鬱なことも感情(気分)です。このような感情(気分)に圧倒されている状態でさらにこの感情に集中するということではありません。このような感情はコントロールしようとせずに、いわゆる五感のアンバランスを正していこうという提案です。そのほかにいわゆる第六感というのがあります。ふとなにか大切なことが頭に浮かんだりする直感というものです。

これらを大切にしていこうとするのが東洋的な精神療法である森田療法であると思っています。強迫症にみられるように、まじめな人であるからこそ、失敗をゆるされないと思う(思考へのとらわれ)からこそある特定の不快な感覚から抜け出せなくなっている自分に気づく必要があります。そのために「五感」を取り戻すことが有益なのです。

※次回は「五感」について考えます。