Dr.Naokiの森田療法コラム ~「第五回目」不安のチェックをしてみましょう~

「第五回目」不安のチェックをしてみましょう

課題1:

ご自分の思考のとらわれとはからいによる不安の渦(悪循環)をチェックしてみましょう。

なんらかの精神障害を患っている人のみならず、普通に日々の生活を送っている人たち、学校に通っている若者たち、職場で働いているひとたちそして家庭生活を営んでいる人たちに認めることはありませんか?

学校や職場でちょっとしたミスなどを契機に周りの人たちの反応を気にするようになり、「もしかしたら嫌われているのではないか」などと考えるようになり、「もしそうだったらどうしよう」などと考え、かえって場にそぐわない行動(はからい)をとってしまい、結果としてますます自信を無くし、不登校や休職に陥るひとも少なくありません。また残念ながら家庭での人間関係で悩むこともあり、その悩みが「もし・・・ならどうしよう」などと考えすぎてしまい、同じような不安の渦に至ります。

いままでのことを図にするとこのように表すことができます。すなわちわたしたち人間は基本的には不安を抱きながら毎日生活しているということ、しかしこの基礎的な不安があるから自分を危険から守ることができていること。ですから不安をすべて無くすことではなく、不安はあっていいのです。むしろ問題は不安に「とらわれ」、なんとか不安を取り除こうと「はからう」ことでますます不安が増大し、わたしのいう「不安の渦」Anxiety Vortexとして襲い掛かってくるし、その渦から抜け出すことが困難な事態に陥っていることなのです。これには森田のいう「精神交互作用」と「思想の矛盾」という心理機制があり、リワークを行う際にはまずこのことに気づく必要があると思っています。そしてこのような不安の渦の形成プロセスは不安性障害のみならず、様々な精神障害にも当てはまると言えるし、それだけではなく、とくに治療もせずに普通に過ごしている人たちにも当てはまると考えます。

 

課題2:

精神交互作用について考えてみましょう。

あるひとつのこと、ある感覚に過度な注意を向けることで、その感覚がますます鋭敏になる「注意と感覚の悪循環」のことです。ある日内科を受診して、「ちょっと心臓が」といわれてから動悸を気にするようになるなどです。「もし病気だったらどうしよう」という不安が背景にあり、「益々気にしてしまう」という心理作用です。頭痛や頭重感、めまい、腹痛なども同じ心理作用の可能性があります。

 

課題3:

思想の矛盾について考えてみましょう。

「かくあるべし」例えば「人前でどもってはいけない」と自分に言い聞かせてしまうと結果としてプレゼン中にどもってしまい、「かくある」自分と乖離してしまうという心理機制です。赤面恐怖や対人恐怖も同じ心理機制の可能性があります。

 

課題4:

事実唯真(じじつただしん)について考えてみましょう。

「周囲の人たちが自分のことを見ている」という時があるかもしれませんが、その時に「自分のことを嫌な目でみているから自分は嫌われている」と受け止めた時にそれは「事実」でしょうか?感情に振り回されずに冷静な気持ちになること、そのために少し距離をおくことなどの対処法が必要です。「嫌いなものは嫌い」という主観的な事実もありますが、その内容を冷静に見極めるという客観的な努力も必要です。固定化した事実というものが想定されているわけではありません。

※次回からは「不安の悪循環(渦)への対応」について考えます。